業種別 労働災害分析レポート
医療・福祉 / 母集団 97件 (2019年〜2025年)
発行日: 2026年5月16日
発行: ANZEN AI Portal
業種別 事故分析レポート
医療・福祉
腰痛・転倒・暴力に加え感染症リスクが大きい
Healthcare & Welfare ・ 集計期間 2019年〜2025年 ・ 母集団97件 ・ 発行日 2026年5月16日
サマリ
事故事例 合計
97件
厚労省データ+curated事例の合算(2019年〜2025年)
死亡事例
93件
全業種死亡災害の1.9%を占める
休業4日以上 (重傷+中等傷)
3件
業種事例の3.1%(事業者報告義務該当)
前年同期比
-84.6%
2024年 13件 → 2025年 2件
業種特有の危険要因 Top 5
原因 Top 集計と業種ハザード辞書を突き合わせて、業種としてのリスクポイントを抽出。
- 1
その他
40件 ・ 業種内 37.4%
その他に関わる作業手順・教育・点検記録を再確認。
- 2
物上げ装置、運搬機械
27件 ・ 業種内 25.2%
フォークリフト・クレーン関連。誘導者の配置と接触防止標識を徹底。
- 3
仮設物、建築物、構築物等
11件 ・ 業種内 10.3%
仮設足場・親綱の不備による墜落。安衛則 第518条〜第533条 をチェック。
- 4
環境等
6件 ・ 業種内 5.6%
通路・床面・照度などの作業環境。整理整頓と滑り止め対策が基本。
- 5
物質、材料
5件 ・ 業種内 4.7%
資材落下や荷崩れ。荷の積み付け・固縛の徹底。
重大事故 Top 5
重傷・死亡を中心に curated 事例から代表的なケースを抽出。詳細ページで再発防止策・関連法令を確認できます。
病院廊下での転倒による頭部外傷死(保健衛生業)
病院の廊下清掃作業中、清掃員(70代女性)が水拭き直後の濡れた床で転倒し、後頭部を打って脳出血で死亡。高齢者雇用の増加とともに転倒死亡リスクが高まっている。令和7年速報・第三次産業(保健衛生業含む)の転倒死亡は第二次産業を超える傾向。速報統計から導出した代表事例。
主な原因
- 清掃中の床濡れ表示(ウェットフロアサイン)の設置が後回しにされていた
- 高齢清掃員に対する転倒リスク評価(THP)未実施
- 廊下の照度・床材(滑り止め仕様)の定期点検が未整備
深層介護現場での腰痛による休業4日以上(医療福祉)
特別養護老人ホームで、夜勤帯にひとりで入浴介助補助を行っていた介護職員(40代女性)が腰部負傷で休業7日。リフト未導入の浴室での無理な姿勢が原因。
主な原因
- 浴室にリフト等の介助機器が未配備
- 夜勤帯のひとり介助運用
- 腰痛予防対策指針の未実施
利用者からの暴力による頭部打撲(介護職)
認知症対応型グループホームで、興奮状態の利用者から杖で殴打され頭部打撲。労災申請し認定(精神疾患併発)。
主な原因
- ハラスメント・暴力行為への対応マニュアル未整備
- 利用者BPSD(行動心理症状)のケアプラン不足
- 単独夜勤での暴力対応
入浴介助中の腰痛で3ヶ月休業(介護施設)
特別養護老人ホームで要介護4の利用者を浴槽に移乗中、中腰姿勢で抱え上げて急性腰痛。ヘルニア発症。3ヶ月の休業。
主な原因
- 機械リフト未導入(ノーリフトケア未実施)
- 2人介助ルールが人員不足で守られていなかった
- 入浴介助の動線が狭く姿勢が取りにくい
使用済み注射針で指刺し(病院・看護師)
急性期病棟で採血後、使用済み針のリキャップを試みた際に左手親指を刺した。HIV・HBV・HCV陽性患者で、曝露後予防投与開始。
主な原因
- リキャップの習慣が残っていた(禁止徹底できていなかった)
- 針捨て容器が手の届く位置になかった
- 新人看護師への針刺し予防教育不足
事故の型 Top 10
厚労省データを含む業種内全事例から事故型を集計。
- その他39件 (40.2%)
- 交通事故(道路)20件 (20.6%)
- 墜落、転落11件 (11.3%)
- 転倒5件 (5.2%)
- 火災5件 (5.2%)
- おぼれ4件 (4.1%)
- はさまれ、巻き込まれ4件 (4.1%)
- 激突され4件 (4.1%)
- 動作の反動・無理な動作2件 (2.1%)
- 飛来、落下1件 (1.0%)
原因 Top 10
厚労省データ+curated事例の mainCauses を統合集計。
- その他40件 (37.4%)
- 物上げ装置、運搬機械27件 (25.2%)
- 仮設物、建築物、構築物等11件 (10.3%)
- 環境等6件 (5.6%)
- 物質、材料5件 (4.7%)
- その他の装置等2件 (1.9%)
- 動力機械1件 (0.9%)
- 清掃中の床濡れ表示(ウェットフロアサイン)の設置が後回しにされていた1件 (0.9%)
- 高齢清掃員に対する転倒リスク評価(THP)未実施1件 (0.9%)
- 廊下の照度・床材(滑り止め仕様)の定期点検が未整備1件 (0.9%)
業種特有パターン
事故型 × 原因の組み合わせ頻度。業種で繰り返されているシナリオを示します。
その他
その他
39件 ・ 業種内 40.2%
交通事故(道路)
物上げ装置、運搬機械
20件 ・ 業種内 20.6%
墜落、転落
仮設物、建築物、構築物等
7件 ・ 業種内 7.2%
火災
物質、材料
5件 ・ 業種内 5.2%
おぼれ
環境等
3件 ・ 業種内 3.1%
転倒
仮設物、建築物、構築物等
3件 ・ 業種内 3.1%
はさまれ、巻き込まれ
物上げ装置、運搬機械
3件 ・ 業種内 3.1%
墜落、転落
物上げ装置、運搬機械
2件 ・ 業種内 2.1%
業種が抱える典型的なハザード
- 移乗介助による腰痛
- 施設内での転倒
- 針刺し・感染暴露
- 利用者からの暴力・腰痛
時間帯・事業所規模
始業帯・残業帯など事故が集中する時間と、事業所規模ごとの分布を集計。
時間帯別 発生比率
- 始業帯 (6:00-10:00)19件 (20.7%)
- 午前 (10:00-12:00)20件 (21.7%)
- 午後 (12:00-18:00)35件 (38.0%)
- 夜間・残業 (18:00-6:00)18件 (19.6%)
厚労省 occurrenceTime(2時間幅)を 4 区分にまとめた業種内の分布。
事業所規模別
- 1〜9人 (零細)12件 (13.0%)
- 10〜49人 (小規模)51件 (55.4%)
- 50〜299人 (中規模)23件 (25.0%)
- 300人以上 (大規模)6件 (6.5%)
安衛法上の「規模別管理者選任義務」のラインで4区分。
月別 発生傾向と季節性
業種内で事故が集中する月と、過去3年の月次推移を比較表示。
13件 ・ 13.4%
凍結・転倒、暖房関連火災に注意
13件 ・ 13.4%
工期繁忙・新人作業者の不慣れ
12件 ・ 12.4%
新人作業者・体制変更に伴う作業手順逸脱
月次推移(過去3年)
年単位の事故件数推移を月ベースで比較。季節要因と前年同月比を1画面で読み取れます。
月別 全期間累計
業種累計の月別件数。季節要因(暑熱・降雪・年度切替)の影響を読み取るための分布です。
棒の高さは月内事故件数(業種累計)。最大13件。
年次推移と前年同期比較
業種内の事故件数を年単位で集計。データ収録は年により濃淡があるため、絶対値ではなく構成比の変化を中心に読みます。
頻出 推奨対策(curated 事例ベース)
curated 事例の preventionPoints から頻出度上位を抽出。朝礼・KY・年次計画に転記して使えます。
水拭き清掃時は作業前後にウェットフロアサインを必ず設置(チェックリスト化)
出現1回
60歳以上の清掃従事者に年1回の転倒リスク評価(バランス能力テスト等)を実施
出現1回
廊下床材を滑り抵抗値(C.S.R.)0.4以上の素材に更新計画策定
出現1回
厚労省『職場における腰痛予防対策指針』のチェック実施
出現1回
重度入居者の入浴介助は2人体制 or 機器使用
出現1回
夜勤体制の見直しと深夜入浴の原則禁止
出現1回
利用者からの暴力は労災対象である旨の周知
出現1回
BPSD対応の非薬物的ケア教育
出現1回
夜勤の複数体制 or コール通報体制
出現1回
リキャップ禁止の徹底(厚労省通達)
出現1回
各ベッドサイドに針捨て容器を常備
出現1回
Safety engineered needle(安全機構付き針)の導入
出現1回
重大事故予防チェックリスト 30項目
本業種で死亡災害を防ぐためのチェックリスト。6カテゴリ×5項目で構成され、PDF出力でそのまま現場会議資料に使えます。
1. 高リスク作業の事前管理
- 01
移乗・体位交換・入浴介助は1名介助か2名介助かを利用者ごとに判定し記録している
根拠: 厚労省「職場における腰痛予防対策指針」
- 02
感染症が疑われる利用者にはスタンダードプリコーション+経路別感染予防策を運用している
根拠: 厚労省「医療機関における院内感染対策マニュアル」
- 03
針刺し・切創を伴う処置はリキャップ禁止・安全器具使用を徹底している
根拠: 労働安全衛生規則 第594条 / 厚労省「医療従事者の感染防止」
- 04
暴力・ハラスメントが想定される利用者対応は事前にリスク評価し2人対応にしている
根拠: 労働施策総合推進法 第30条の2 / 厚労省「カスタマーハラスメント対策」
- 05
夜勤・準夜勤は適正人員配置と仮眠時間を確保している
根拠: 労働基準法 第41条 / 厚労省「夜勤・交代制勤務改善ガイドライン」
2. 設備・機械の安全装置
- 06
移乗用リフト・スライディングシート等のノーリフトケア機器を整備している
根拠: 厚労省「職場における腰痛予防対策指針」
- 07
安全機構付き針・耐切創手袋等の感染対策器具を常備している
根拠: 厚労省「医療従事者の感染防止」
- 08
ベッド・車椅子・浴室の手すり・滑り止めを定期点検している
根拠: 労働安全衛生規則 第544条
- 09
オートロック・防犯カメラ・通報装置等の暴力対策設備を運用している
根拠: 厚労省「カスタマーハラスメント対策」
- 10
AED・救急カート・除細動器の点検記録を保管している
根拠: 厚労省「職場におけるAED設置促進」
3. 教育・資格・指揮命令
- 11
移乗・体位交換等の身体介助技術研修を新人・配置転換時に実施している
根拠: 厚労省「職場における腰痛予防対策指針」
- 12
感染症対策(標準予防策・経路別予防策)の研修を年2回以上実施している
根拠: 感染症法 / 厚労省「医療機関における院内感染対策」
- 13
暴力・ハラスメント対応のシミュレーション訓練を実施している
根拠: 厚労省「カスタマーハラスメント対策」
- 14
ハラスメント・暴力被害の相談窓口を設置し周知している
根拠: 労働施策総合推進法 第30条の2
- 15
毎勤務開始時に申送り・KYで本日のリスクを共有している
根拠: 厚労省「危険予知活動の進め方」
4. 作業環境・整理整頓
- 16
床面の濡れ・段差・コードを点検し、転倒の原因を排除している
根拠: 労働安全衛生規則 第544条
- 17
ユニフォーム・リネンの感染区分(清潔・不潔)を区分管理している
根拠: 感染症法 / 院内感染対策マニュアル
- 18
薬剤・消毒薬の保管庫を施錠管理し、転倒防止を講じている
根拠: 労働安全衛生規則 第325条
- 19
ナースステーション・スタッフルームに防犯センサー・通報装置を設置している
根拠: 厚労省「カスタマーハラスメント対策」
- 20
屋外送迎・洗濯物干し作業は熱中症対策(WBGT・水分補給)を実施している
根拠: 厚労省「職場における熱中症予防基本対策要綱」
5. 保護具・健康管理
- 21
感染防護具(マスク・ガウン・手袋・フェイスシールド)を業務に応じて支給している
根拠: 労働安全衛生規則 第593条
- 22
腰部保護ベルト・滑りにくい靴等を必要に応じて支給している
根拠: 厚労省「職場における腰痛予防対策指針」
- 23
雇入時健康診断・B型肝炎ワクチン・抗体検査等を実施している
根拠: 労働安全衛生規則 第43条
- 24
夜勤回数・連続夜勤の上限を就業規則で定めている
根拠: 労働基準法 第41条
- 25
メンタルヘルス相談窓口・EAPを設置し利用方法を周知している
根拠: 労働安全衛生法 第66条の10
6. 緊急時対応・連絡体制
- 26
コードブルー・コードシルバー等の緊急コール体制を訓練している
根拠: 医療法施行規則 第1条の11
- 27
AED・蘇生処置の訓練を年1回以上全職員に実施している
根拠: 厚労省「職場におけるAED設置促進」
- 28
労働災害(針刺し・暴力被害含む)の労基署報告体制を明確化している
根拠: 労働安全衛生規則 第97条
- 29
ヒヤリハット・インシデント報告を月次で分析し再発防止策を講じている
根拠: 厚労省「医療安全管理体制」
- 30
安全衛生委員会または医療安全委員会を月1回以上開催している
根拠: 労働安全衛生法 第18条 / 医療法 第6条の12
関連法令マッピング
本業種の死亡・重傷事例に対して条文遵守状況を確認すべき主要な労働安全衛生関連法令。
職場における腰痛予防対策指針
介護・看護動作
労働安全衛生規則 第32条〜第36条
健康管理・健診
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
感染防止
次のアクション
出典: 厚生労働省 職場のあんぜんサイト 死亡災害DB、労働者死傷病報告オープンデータ、編集部 curated 事例(公開情報を匿名化して再構成)。 本レポートは自動集計に基づく参考情報であり、個別案件の判断は所轄労働基準監督署および関係法令を確認してください。